石の虚塔 上原善広

石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち

石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち

素人でも参加できるだけに学閥と嫉妬の渦巻く考古学。岩宿遺跡の相澤忠洋の執念と明治大学の杉原荘介・芹沢長介の確執。アマチュアを受け入れる芹沢の手法は、アマチュアの成果を自らのものにするという効果も。自らの仮説を証する発見に、無批判となる土壌が藤村の捏造を見抜けないことになった。自然礫と区別がつきにくいからこそ前期旧石器という主張が、どうして「きれいな」石器が前期旧石器として認めてしまったのか、「層位が型式に優先する」ということが背景にあるわけだが。