2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中世公家と地下官人 中原俊章

▽衛府が供御を貢進する行為は呪術的な意味が含まれ、検非違使の警衛も、滝口も。衛府が内裏の清掃を担当するのも。検非違使が河原などの興行を仕切るのも、穢れとの関わり。それが坂など交通の要衝を押さえることにもつながり経済的な意味を持つ。▽地下官人…

王朝の権力と表象 服部早苗・編

▽過差は、天地の秩序を乱すことで王としては制御しなければならず、摂関も廷臣としては協力しなければならないが、逸脱の欲望が本質、左右に揺れる。逆に過差を認めることが権力者。▽馬は摂関家が押さえ、貴族社会への供給源ともなっていた。競馬は院に止め…

院政の展開と内乱 元木泰雄・編

地域の対立紛争の調停者として登場した京武者もやがて在地領主と対立するようになり、さらに上位の棟梁の登場、反りがある刀は必ずしも馬上戦闘から出たのではなく、馬は弓、刀は歩卒の武器だったこと、矛は集団的で長刀は個人的で律令の矛と中世の長刀、中…

酒呑童子の誕生 高橋昌明

大江山の位置が西北・山陰道で疱瘡の通り道、疱瘡は新羅から、蕃と征夷から住吉の連想、雷光と頼光、方相氏と保昌の音通の連想、斉天大聖の中国読み「チーティエンダーション」、中国小説に源流を求め、四神との関わりから説話の誕生に関わった比叡山・渡辺…

連立政権 草野厚

連立政権になることで、各党が無責任な態度を捨て、政策過程が透明になり、市民の活動などに理解が示されるようになった、とかなり好意的な見方である。対立軸が不明確、ということは指摘しているが。国連への関与などでわかれた上、大きな政府・小さな政府…

中世に生きる律令 早川庄八

「比附」「因准」「挙軽明重」「挙重明軽」「所為重者自従重」を駆使して、律令の条文を変えずに自在の解釈を行う(本来の用語の趣旨をあえて無視して)。その鎌倉期の寛元二年の石清水八幡宮の事件についての部分が長大。貴族社会が影響を失い律令がもはや…

蝿の王 ゴールディング

救助されたとはいえ、いったん獣性をむき出しにしたジャックらはどうなるのか、ラーフとの関係は。顔に迷彩を施すことが人間性から脱却するポイントか。のろしとホラ貝は正常な理性の象徴で中間的な指導者タイプがラーフ、理性は十分だがリーダーシップがな…

武士の成立 武士像の創出 高橋昌明

馬術や弓などは、京都が本場で、流鏑馬なども京都で行われたのが地方に広まった、すなわち、治承・寿永の内乱では平家方の方が本来の武士で源氏に加わったのはアマチュア、京都大番や地方では国司に認められる軍役に参加することが「武士」と認められた、と…

大江戸の正体 鈴木理生

江戸初期の日本が最大の絹輸入国だった、という導入から、大縄地の話、下り物、そして規制から発して、例えば紅花を埼玉につくらせた柳屋など近江商人の話。長野から北関東・南東北の絹地帯(桐生・結城紬)が誕生した話。大食らいの信濃者、律儀な越後など…

院政と平氏 安田元久 小学館

通説的な叙述が多く、ある意味わかりやすい。源義朝は、大庭御厨や相馬御厨をめぐる動きのようにかなり無理をしなければならなかった。また常陸には佐竹や志田義広、下野には足利、上野には新田など貴種がいたところは独立した武士団を形成していた。

摂関時代 坂本賞三 小学館

時平の政権が律令復古に対し、忠平は国司に任せ、国図の田からの請負にさせたこと、人から名へ課税単位が変わっていったこと。その後、税率を自由に動かせること、米と布などとの交換率を有利に定めることなどで国司が富裕になったこと、それを開墾地など(…

中世人の経済感覚 本郷恵子

「成功」の価値が下落していった、というのは『中世公家政権の研究』の時にはわかりにくかったが、要は上級貴族がきちんと任命してくれないから下級官人の約束不履行になってしまいがちで、結局彼等の担保価値になった、ということか。幕府と寺社とで御家人…

籤引き将軍足利義教 今谷明

堀河天皇の後に鳥羽天皇を立てるかどうか、白河上皇が行わせた占いがどうやら最初の例で後白河上皇が行わせた様々な籤は九条兼実に(白河上皇は中御門宗忠に)批判されている人智を尽くす前だから。後白河のくじは、例えば義仲を宥めるための政治的なものだ…

戦国の作法 藤木久志

「落書・高札・褒美」中世の村では、犯人の捜索処分は村の責任と考えられていて、自役として検断を執行する場合は褒賞の対象とならず、褒美は自検断が出来ないとき個人の自発的な手柄に出され、構成員はそれを負担することで均しく義務を果たしたことになる…

連立政権 草野厚

連立政権になることで、各党が無責任な態度を捨て、政策過程が透明になり、市民の活動などに理解が示されるようになった、とかなり好意的な見方である。対立軸が不明確、ということは指摘しているが。国連への関与などでわかれた上、大きな政府・小さな政府…