太平記「読み」の時代 若尾政希

「読み」が君恩や親子まで功利的にとらえること、宗教に関しては軍事力の保持や国家護持意識の批判、呪術性の否定など戦国期大名の要請を反映している。一方、忠義の対象を「国」と「君」とに分けているあたりは、国家法人説に通じるものを感じた。山鹿素行や熊沢蕃山、安藤昌益などに及ぼした影響、江戸時代「常識」化していて、安藤の封建制批判はいわば舞台裏を知っているという観点(と思う)は新鮮。儒学との相克など。