宇喜多の捨て嫁 木下昌輝

宇喜多の捨て嫁

宇喜多の捨て嫁

表題作を読んでいるだけでは、いまひとつだったのが、読み進めて行くうちに、実に見事に伏線が張られていて、乱世に生きる男の哀しさまで伝わってくる。これは凄いぞ。今回の直木賞の候補作のなかでは、自分としては『サラバ!』に並ぶ。第一作ということで、賞の性格からして受賞は難しいのかもしれないが。

大化の改新と蘇我氏 遠山美都男

大化改新と蘇我氏 (敗者の日本史)

大化改新と蘇我氏 (敗者の日本史)

蘇我氏皇位をうかがったというのは、天智天皇を正義として位置づけるために、持統朝に、いったんできあがった日本書紀の記述に手を入れたものであることが、文献学的に裏付けられると。▽蘇我氏は、仏教を祀るという「公共事業」を請け負い、それから寺の建立や道路の整備、戦争などまで広がって、勢力を広げて行った。▽改新の詔は、第一条と第四条は副文の状況から実際に発せられたとみられる。