偽書『武功夜話』の研究 藤本正行・鈴木眞哉

偽書『武功夜話』の研究 (新書y)

偽書『武功夜話』の研究 (新書y)

津本陽遠藤周作の小説の種本ともなり、大河ドラマにも設定を使われる著名な「史料」がとんでもない偽書であることを、文書の用法(手紙に年号を書く等)、軍事的非常識ぶり(わざわざ守りにくく攻められ易い城を作る等)、暦の無知(閏月の存在を知らない等)などの視点から証明している。そして、『歴史への招待』で取り上げたNHKや本の出版前に紹介記事を書いた朝日新聞、ろくに読まずにお墨付きを与えたとしか考えられない有名作家、研究者の責任を追及している。見事でもあるがこんなにあっさりだまされるものかと考えると憂鬱でもある。その構造は、旧石器遺跡捏造と同じものがあるのかもしれない。