戦国15大合戦の真相 鈴木眞哉

姉川の合戦は、大して時代を左右したわけでもないのになぜ人口に膾炙したかというと、徳川御用達史観が影響している、というのは、面白い。改めてなるほどと思われたのは、徳川が小勢で朝倉に当たるのを、『国盗り物語』でも家康が申し出たように表現していたが、著者の、現実の戦闘は双方が相手の布石や駒組みを目にしながら戦うことのできる囲碁や将棋と違う、という、あるいは紹介された天狗党那珂湊の戦いで、どこにどの藩が出ているか最初わからなかった、という体験者の話など。軍学者なども、あたかも(講釈師ではないが)、見て来たように陣立てを書いて作戦の良し悪しを、検討したのだろうが、やはり、後知恵、著者の言う「後ろ向きの予言」というものであろう。