細川晴元のために尽力した
一向一揆の勢いに恐れを抱いた権力側が、「諸宗滅亡の危機」と号して
法華一揆を頼り、今度は山門が
法華一揆を「諸宗滅亡の危機」として滅ぼすのを黙認する、その過程が描かれている。
法華一揆は、農村部や
被差別部落の焼討など、マイナスの側面も持ちながらも、京都の市民
自治や地子未進闘争、地下請けを求める活動など、経済闘争の側面もあることを重視している。山門は、地子未進が晴元政権の黙認にあることを察して正面からは批判せず、
荘園領主などによびかけるときにだけ理由に使っている。また、「
法華宗」の語を
日蓮宗側に使わせないよう、という宗論後(筆者の解釈)の山門の求めに対し、拒否する
日蓮宗側の意向をそのまま放置して乱につながるのを黙認した幕府の思惑に、
一向一揆ともども
武家に利用された
法華一揆の姿が現れている。