奇跡を起こした村のはなし 吉岡忍

奇跡を起こした村のはなし (ちくまプリマー新書)

奇跡を起こした村のはなし (ちくまプリマー新書)

新潟県黒川村。雪に閉ざされ、典型的な過疎の村となってもおかしくない立地で実は人口が増えている。村営のレジャー施設やホテル、農業施設や農産物加工施設が雇用を生む。それだけなら、どこの自治体も似たような取り組みをして結果として建設業者とコンサルタントを儲けさせ施設としては大赤字を出すだけなのに、この村は、村長を先頭に役場職員が全員、全ての仕事に飛び込んでいく。著者が紹介した、なんとか補助金を取れるように工夫するなど、ちょっとした自治体ならどこでもやっていることだが、やはり、運営している職員の情熱が半端ではないということか。一回も「むらおこし」という言葉を聞いたことがない、竹下内閣の「ふるさと創生」の補助金には、全ての補助金がそのためにあるのではないか、と疑問に思った、というくだりは、全ての自治体職員にとって、極めて耳の痛いところだろう。