江戸奥女中物語 畑尚子

江戸奥女中物語 (講談社現代新書)

江戸奥女中物語 (講談社現代新書)

多摩地域から奥女中に奉公していた何人か(特に「藤波」)を通じて奥女中の階層や生活、社会背景などを描いている。奉公が一種、縁切り寺のような機能を果たしていたというのは、おもしろかった。また藤波が自分の出身地を八王子周辺と偽って(実家が千人同心の株を持っていたに過ぎない)朋輩に自慢していて、いざその朋輩が実家に立ち寄る機会ができてしまったときの狼狽ぶりをうかがわせる手紙というのもなかなか。将軍の子を産んでもその子が将軍にならなければ「お部屋様」には、なれない、とか、大奥の構造、お美代の方など側室の生涯など、初めて読む話も興味深かった。