ハイドゥナン 藤崎慎吾

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

共感覚」の話しは、寺沢武一の傑作『コブラ』の中で、コブラがソード人と戦った際、視覚と聴覚を入れ替えられたエピソードを思い出した。小説は、海底火山の噴火による沖縄・八重山の沈没をムヌチが地中の微生物へ呼びかけることで止めようという、荒唐無稽な設定。心理学・地球物理学・地質学・民俗学などといった該博な用語があふれるが、壮大な構想スケールのせいか、あまり抵抗なく読み進めることができる。ただ結末がなあ。無理にプロローグに合わせようとしなくても言い。あと、登場人物で柚の兄は必要ないのでは。エウロパの話しも、広がりを持たせようという趣旨とすれば、途中まではともかく、結果としては余計なものだった。