誇大自己症候群 岡田尊司

誇大自己症候群 (ちくま新書)

誇大自己症候群 (ちくま新書)

さまざまな少年犯罪の背景は、これまでの「病気」概念ではとらえられないほど、「普通」の少年が起こしている、という出発点から精神医学はどう答えるのか、その回答として、横断的な状況として提示されたのがタイトルでもある「誇大自己症候群」だ。個性の重視が叫ばれ欲望の即時充足をもってよしとし、些細なことで激しく傷つきやすい現代は、この症候群を多々生み出しやすい土壌にあると。読んでいくと、罪は犯していないが、『本当はちがうんだ日記』など該当しそうだし、共感している自分も該当しそうだ。これを防ぐには、良い母親(要求を全面的に受けとめかなえてやる)と悪い母親(間違ったことをしたら厳しく叱る)のバランスが必要で、また家庭で欠けても学校教育の中で教師、友達とのつきあいのなかで矯正されていく。現在の個性重視という教育のもつ危うさと、いったん否定されたはずの古典的資本主義がグローバル・スタンダードの名のもとに復活し、勝ち組を一斉に目指すことによる「誇大自己症候群」の土壌となっていることを危惧している。
うーん。自分は大丈夫か。