信長の棺 加藤廣

信長の棺

信長の棺

信長の遺体という歴史上のナゾを、本能寺と南蛮寺との間に地下のトンネルで結ぶ、ということが最大の眼目か。阿弥陀寺がらみは、安部龍太郎の『信長燃ゆ』にも出てきたような記憶もあるが、今一つ定かでない。秀吉の出自(前野将右衛門も)を丹波とし、桶狭間の合戦も丹波系の働きとするなど、一見不要な挿話もディテールがふくらみをもたせている。ただ、5つの箱が黄金だったというのは、当然のことかもしれないけれど、ちょっと興ざめか。