ラストサムライ

戦闘シーンはさすがに大迫力。妙にディテールが精確(渡辺謙演じる勝元の下馬が右側だったり)する。設定がめちゃくちゃだったり、忍者の襲撃や小雪がなぜか外で髪を洗うといった観客サービスにけちをつける気はないし、東京から吉野まで何の障害もなく帰国できるというご都合主義もいいとするが、戦闘が終わった後、官軍の土下座はないでしょ。何よりも、勝元が古い価値観を大事にする清廉な男であることはよいとして、どんな国づくりを理想とするのかが具体的にさっぱりわからないから、敵役の大村の腐敗だけではちっとも共感できない。明治帝に見捨てられるわけだ、と思ってしまう。