人格障害をめぐる冒険 大泉実成

人格障害をめぐる冒険

人格障害をめぐる冒険

人格障害という言葉が、精神医学的には精神病ではなく刑事責任を問える、という意味であったとは。そして、言葉の持つ機能である「くくり」「片付け」により、犯罪者の人格障害は、人格障害だから罪を犯したとのトートロジーに陥り、そして「パーソナル障害」という言葉に道を譲る。脳器質の問題なのか、アメリカ流分類法の限界なのか、悪いのはDNAなのか。精神医学を取り巻く状況や現代社会の怪しげな状況が宮崎勤麻原彰晃・神戸の少年A・長崎の少年A・宅間守などを通じ、「人格障害」という言葉の使われている場から浮かび上がってくる、のだ。