蝶 皆川博子

蝶

詩とのコラボレーション。不思議な連作集で、読んでいて反発するようなそうでないような。少なくとも表題作はわけがわからず。「艀」の余所者少女と障害者詩人との心の交流、「想ひ出すなよ」の読書家のお妾さんへの醜い(自称)少女の憧れ、「妙に清らの」の障害のある大人に感じる怪しい魅力、「竜騎兵は近づけり」の都会少女の漁村少年との悲劇的な別れ(上品な叔母はなぜか蝶の身を食うのだ。それも自然に。崇拝者の語り手はごく自然に受け止める。叔母は長野の人か。蝉も食うのか)。詩とのコラボは最終作「遺し文」が最も成功しているか。