盗作 上・下 飯田譲治 梓河人

盗作(上)

盗作(上)

盗作(下)

盗作(下)

くだらない。芸術作品が天からの啓示を受け止めたもの、というのは何人かの芸術家の語るところでもあるしそうなのかもしれないが、具現化するにあたっての人間が、まさに器であり器を通して表現される芸術が「盗作」とされるほどぴったり同一であるはずはない。単に、人間である以上、似たような着想や表現方法をそれぞれ独自に実現していることがある、というに過ぎない。ニューエイジ系では、そもそもの生物の誕生も、それぞれの「ディーヴァ」から種ごとに地球に降りたっていくのだ、という話を聞いたことがあるけど。それとも、誰でも一作は傑作をモノにする可能性がある、と言いたいのか。続編がなければ本当の才能ではない、と言いたいのか。筋は後半に向かうにつれて盛り上がっていくけど、登場人物の造型は、反比例して薄っぺらくなっていく。ああ、くだらない。