「ニート」って言うな! 本田由紀ほか

「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)

▽第1部「現実」 「ニート論」という奇妙な幻影(本田由紀
ニートという言葉を使うことにより、若者の雇用問題という本質的な部分を見えにくくしていると批判している。「非希望型」は常に社会に一定数存在し、その数は決して増えていない。増えている「非求職型」は、フリーター(大きく増えている)や失業者と質的にあまり違いはない。正社員と非正社員の差、企業の採用構造こそが問題なのだ。
▽第2部「構造」 社会の憎悪のメカニズム(内藤朝雄
教育とは「私の中の憎いものに対して、私があなたの中にそれを見いだして、あなたをいじめる」ことというとらえかたは、まさに「おぞましい」。全ては教育に還元され教育の名のもとであれば、人権侵害がまかり通る。教育は阿片だ。「透明な社会」を否定し、「不透明な成熟した社会」を提唱している。
▽第3部「言説」 「ニート」論を検証する(後藤和智
紹介されている『AERA』の手法、「女の気持ち」など「問題にならない問題」をさも社会的に大きな問題であるかのようにとりあげる「アエラ問題」(中森明夫の表現という)というのは、秀逸。

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