律令制の虚実 村井康彦

律令制の虚実 (講談社学術文庫)

律令制の虚実 (講談社学術文庫)

建前と本音、という日本人的特性が律令制によくあらわれている、という見方。▽遷都は、実行することにより求心力を高める効果をもつ。▽平城京の外京について、「左右相称の美を誇るべき平城京にみにくい出っぱりができた・・このいびつな姿が、実は、大宝律令の制定で実現したかのようにいう律令制国家の内実をいかにもよく象徴しているのではないか」。▽また、「国風文化」という表現に疑問を呈するところから、都意識と一見逆行する形で強靱な国風・国例が形成されていく、という展開、唐物へのあこがれは室町まで続くし道真の遣唐使廃止は、単に前年の派遣決定を取り消したのに過ぎず、「国風文化」とは関係ない、と。