生活の設計 佐川光晴 新潮社

饒舌な文体で屠殺場という職場と周りの反応をユーモラスに描く。やはり白眉は床屋でのシーンであり、世間と個人の部分である。屠殺場勤務へ、というのは熟慮からでなく『野火』から単なるノリとして描かれ、それがまた、そういうこともあるよなあ、という感じだ。『野火』はずいぶん昔に新潮文庫で読んだが、薄い割に読みにくかったという感想しか残っていない。