千年樹 荻原浩

千年樹

千年樹

千年前の悲劇をもとに生えたくすのき。そのもとで繰り広げられる人の営み。出会い・いじめ・戦争・リンチ。すぐ近くにかつて幼稚園があった、という設定で登場人物がリンクし、人間関係が変化する様子も巧みに描いている。テクニックはなかなか。それだけ。「梢の呼ぶ声」と「バァバの石段」はしみじみとさせるが、連作全体としては凡作という印象。着想が、嫌なのかもしれない。