中世朝廷訴訟の研究 本郷和人中世朝廷訴訟の研究作者: 本郷和人出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1995/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る

なるほどなるほど。承久の乱で武力=強制力を失った朝廷は、恣意を強制できないから誰もが納得できるような道理に基づいた訴訟運営をしなければならなかった、それが九条道家の徳政であり、諡号(「徳」の文字が京都から離れた土地で非業の死を遂げた天皇におくられ、それは「元に戻す」という意味がこめられていた)からも朝廷の権威回復を願っていた、というわけか。道家がつくった体制は、殿下の位置に治天が座り、天皇が置かれた位置に内覧があたるという形で、鎌倉後期の朝廷訴訟体制に引き継がれていく。鷹司兼平西園寺実兼も口入しかできないとして、片付けられる。政治史と制度史とを区別しようというわけである。鷹司兼平なんて、先日『新・中世王権論』を読むまで知らなかったけど。