砂の肖像 稲葉真弓

砂の肖像

砂の肖像

表題作だけで十分に読む価値があるが、逆に表題作に行き着くまでの4作とはどうも肌合いが合わないというか、どちらかと言えば読み進むのが苦行ですらある。なんだかなあ。冒頭作「石に映る影」で、子どもの頃に空き地で見た、砂岩のような大石、小石で叩くとぼろぼろと欠けて中に水(これは雨水だろう)がたまっていて、つたのようなつるが這いまわりながらその内側は小石でたたいても跳ね返るほど硬かった、その駄石のことは思い出したが。