声と顔の中世史 蔵持重裕

文書は、声で読み上げられて効力をもつ、ということか。また通常とは異なる大声を上げることで神に伝えるという意味を持つことも。鎌倉幕府は訴訟で徹底して文書主義を採用したようだが、口下手で訴訟の場でうまく論理を展開できない武士にとって、かえって文書は助けになった、つまり、文字を知らない武士は道理の”詞もしらない”ため、詞で論の展開をするのも下手なので」「口を利かなくていい文書は実に便利で助かったに違いない」と熊谷直実の逸話から推測している。なるほど。