最悪 奥田英朗

最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

融資を受けた金を奪われるのかと思ったら、さらにそう来たか、という感じ。エリート行員の余りに簡単な気まぐれとも言える行動に振り回され、近隣住民の苦情に苦慮し、中間で小金をせしめる発注先がいてと零細工場主・川谷の内実がリアルに描かれたうえに、チンピラ・和也の日常が対比的に描かれ、ヤクザからのリンチのシーンは迫力満点。そしてずっと「いい子」でいてこれからも「いい子」でい続けるであろう女子行員・みどりがからんでくる。このみどりの扱いが他の2人に比べて少し弱いか。松村か。いったんこういう人間と関わると仕方ないのか。周りを見てそう思う。