ロストロポーヴィッチから贈られた臨時政府非常委員会の
ラスプーチンに関する調書。「敵」の言い分ばかりが公にされている中、「味方」だった者たちの供述が多く含まれる。
ラスプーチンは、魂の試練のためにあえて放蕩して自らを試しあるいは堕落して深く悔悟する(魂の体操「霊操」と言うらしい)として、その背景に
鞭身派の思想をみる。一度「ソファーの部屋」に入った女性には興味はなく、応じなかった女性に執着する。
ラスプーチンは皇后が欲していることを「予言」し、皇后の思いが実現すれば、予言があたったことになるというからくり(だから、皇后が欲しないことを予言しても実現しない!)。そして、暗殺は、結局ユスーホフ公爵の妻の皇姪イリーナに執着して呼び出された
ラスプーチンがユスーホフと男色関係を持って時間を稼がれたところで撃たれたが絶命しなかったところをドミトリー大公にとどめをさされた、というところで、毒に関しては、甘いものを食べない
ラスプーチンが青酸カリ入りのケーキを口にしなかったというだけのことのようだ。結局、
ラスプーチンはある種の超能力者だったのだろうが、超能力者=万能ではない(100メートルを5秒では知れるからといって、未来がわかるわけでもあるまい)ということなのだろう。それを弁えなかったのが、皇后、というわけだ。