日本の地方政治 曽我謙悟・待鳥聡史

日本の地方政治―二元代表制政府の政策選択―

日本の地方政治―二元代表制政府の政策選択―

知事と議会の党派的属性が都道府県という地方政府の政策選択にどのように影響を及ぼしてきたか、決算の歳入・歳出の面から分析している。▽1960年代から革新自治体の伸長、その後退と保守回帰、無党派知事の登場と15年周期で変化がみられること、時期ごとに、▽革新自治体について、議会の革新政党は民生や教育だけでなく保守系と同じく開発にも志向が強く、「政策選択の多くの部分を規定したのは、実際にはむしろ議会の党派的構成であり、議会と知事との関係であったこと、▽保守系知事は財政健全化に取り組もうとするが、財政状況が悪化しているときは与党が大きいほうが歳出総額は抑制されやすい。財政状況が好転しているときは、与党が大きいほうが歳出総額は拡大しやすい、▽無党派知事は歳出を抑制しようとし、民主系知事は高くなる、という傾向を描きだした。なんとなく同じ傾向にイメージしていた無党派知事と民主系知事が、歳出に関して正反対の志向を持つ、というのは意外だ。感覚が誤りであった、というのを認めるにやぶさかでないが、それでも、そうなの?という感じではある。確かに石原・田中・片山と歳出抑制ではあるが、民主系でもそういう知事はいそうだが。あと、非自民保守系知事、という分類に意味があるのだろうか。せいぜいごく短期間の新進党系くらいなのだが。