オオカミ少女はいなかった 鈴木光太郎

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

なるほど、である。たしかによく考えればオオカミが人間の子をそれも2人も育てるはずはないし、オオカミの乳では人間は育たない。つまり、引っ込みがつかなくなった牧師のでっちあげであったと。また有名なポップコーンとコーラのサブリミナル実験は、実験というにはあまりにずさんなうえに3000分の1秒の刺激などありえないと。そのほか、母親がなぜ左胸で赤ちゃんを抱くのか、一卵性双生児はばらばらに育つ場合と一緒に育つ場合とどう違うか、記憶とは何かをめぐるプラナリアの実験など、副題通り「心理学の神話をめぐる冒険」が繰り広げられる。ただ前提として、ポップコーンとコーラの実験が信用できなかったからと言ってサブリミナル効果がないと言い切れないように、割り切れない部分があるところだ。なるほど。