イノセント・ゲリラの祝祭 海堂尊

イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭

メッセージは強く伝わったが、小説としての出来はシリーズ最低か。厚生労働省の「懇談会」メンバーとなった田口が、官僚機構の愚劣さと対峙する。変死でも解剖されないことで事件が闇に葬られていく日本社会。誕生から死後まで、医療の抱える問題は深い。死亡時画像診断「エーアイ」を導入していくために、何が必要か、考えさせられた。ただ医療事故を刑事事件として医師個人の責任に帰してしまう傾向への問題提起との整理がいま一つついていない印象も受けた。