自民党政治の終わり 野中尚人

自民党政治の終わり (ちくま新書)

自民党政治の終わり (ちくま新書)

郵政民営化はもともとの持論であり、高い支持率を誇り、橋本行革で権限が増大していたはずの小泉をもってしても、相当な期間と手間がかかった。自民党は、派閥とあいまってボトムアップ型の意思決定過程は大きなインサイダーを抱え込む高度成長期に合ったシステムであり、迅速な意思決定が求められる現代には適合しない。論旨で興味を持ったのは、憲法の制度的欠陥に触れたくだりだ。議会の自律性が非常に強く(そして第2院の参議院も)政府がより機動的に政策を決定・推進できない。議案提出・議事日程管理・議決方式などはヨーロッパでは改革されている。日本では、自民党の一党優位が制度的不備をカバーしていた、というものだ。なるほど。