蝦夷と東北戦争 鈴木拓也

蝦夷と東北戦争 (戦争の日本史)

蝦夷と東北戦争 (戦争の日本史)

律令国家の東北政策は、城柵による支配を基本とし、征夷はそれを設置・維持する補完的なものであった。唐の衰退で対外的な圧力が減少し、東国の防人が廃止されたときに征夷の兵力が増強され、いずれにしても東国が頼りにされていること、支配域を拡大したといっても陸奥・出羽からの税収は当地で蝦夷対策に使われ、降伏して各地に移された「移配蝦夷」からもいつまでも調庸を徴収できず、かえって禄を支給しなければならなかった。征夷は終了後も莫大な財政負担を残したのだった。