なぜGMは転落したのか ロジャー・ローウェンスタイン

なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠

なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠

モラルハザード、という言葉が当てはまるのかもしれない。年金というものは、交渉の当事者が責任を取らない。だから大盤振る舞いをする。ストライキを回避するために年金に逃げたGMにおける例は、企業に任せてはだめだ、ということを意味している。また、ニューヨークの地下鉄労働者やサンディエゴ市の例で指摘されているように、地方公共団体(おそらく国であっても)も公務員に関しては企業以上にタチが悪い。それは早く退職して現役時代と同じレベルの収入を得ながら趣味に生きることができればそれに越したことはない。そしてそんなことは長続きしないのだ。日本の年金制度だって、社保庁のいい加減さ、施設の濫造ぶりを見ても、同様の危険がすでに表れていると言える。結局、賦課主義はダメ、ということなのだろう。