寺よ変われ 高橋卓志

寺よ、変われ (岩波新書)

寺よ、変われ (岩波新書)

葬式仏教と揶揄されて久しいが、実は葬式の場からさえ寺・僧侶の存在は薄くなってきている。寺の本堂ではなく斎場での葬儀。死者の生前の姿を知らず、亡くなる直前の悲しみ・苦しみを知らず、亡くなって納棺する際にも立ち会わない。そうした寺・僧侶の一方で、著者は戦没者慰霊やエイズ患者・チェルノブイリ被曝者救済を通じて覚醒し、地域の人たちの四苦に対応する場として住持する寺を位置づけ、活動を広げている。一人でも多くの僧が、変わっていくことを期待したい。そう強く感じる1冊だ。