王朝貴族の悪だくみ

王朝貴族の悪だくみ―清少納言、危機一髪

王朝貴族の悪だくみ―清少納言、危機一髪

 繁田信一
▽「殺人犯を皇族に仕立て上げる」太宰大弐だった藤原惟憲の陰謀で、大蔵種材(刀伊来寇時の英雄)の息子で大隈守殺害犯の光高を「良国王」として敦平親王の持っていた皇族叙爵権を使って五位に任じようとし、親王に後ろめたい意識があった関白頼通のごり押しでいったんは従四位下が授けられてしまった。▽「告発者の親兄弟を皆殺しにする」花山天皇系人脈として尾張守から排除された藤原元命(不正がなかったと言う意味ではなく、朝廷が訴えを取り上げたと言う意味)の後任の文隆(のりあきら)は筑後守在任中、不都合な豪族の家族を皆殺しにし、生き残りに金峰山参詣の帰りに襲われる。朝廷は告発者を見捨て、あるいは被告発者の受領側に始末する猶予を与える。▽「殺人事件の捏造を隠蔽する」受領は豪族と対立するばかりでなく、郷土を売った豪族と手を組むことも。藤原行成は但馬守の息子・実経が郡司たちと組んで、小一条院の荘園の荘司であった法師・惟朝を殺人者として誣告。明らかになっても庇おうとする。