暗渠の宿 西村賢太

暗渠の宿

暗渠の宿

「けがれなき酒のへど」と表題作を収録。赤裸々に欲望と劣等感と暴力衝動を語る。このあけすけさがたまらない。そして、この手の心理は、実に理解できるだけに(それを理性とか臆病とかでとめていたり、そこまでは、というレベルでいえば、質ではなく量の違いに過ぎない)、自分の恥部を他人の話として読める安心感がたまらない。