函館水上警察 高城高

函館水上警察

函館水上警察

明治24年(というと日清戦争直前か)の函館を舞台に、外国船とそれを取り巻く事件を水上警察署の敏腕次席の活躍を通して描く。事件は密輸に荷役、賭博にその取締りの混乱を狙った殺人。「鹿鳴館」の思惑は明らかになっておらず、続編でどのように描かれるのかが楽しみ。シリーズの9年前にあたる明治15年の若き日の森鴎外アーネスト・サトウと対決する「丘の上の対話」も、いい。作者が後書きで自ら書いているように、シリーズの登場人物がちらほら出てくるのが愉しい。これらがほとんど実在の人物と言うから驚きだ。完全復活、とても結構なことだと思う。