二度はゆけぬ町の地図 西村賢太

二度はゆけぬ町の地図

二度はゆけぬ町の地図

表題は、著者がその性格により迷惑をかけ、足を踏み入れることができなくなった場所、という意味だろう。底辺の生活を覗かせてもらったというか、他人の不幸を安全地帯から眺めるというか、自分の中にもある心理的衝動を登場人物にも見つけるとか、そんな私小説を読む愉しみを今回も満足させてくれる本だった。