瘡瘢旅行 西村賢太

瘡瘢旅行

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表題作の、酒を運んできた女性とのやりとりについての喧嘩など、実に現実感あふれている。「膿汁の流れ」での、秋恵不在中の貫多の行動は、情けなくもストレートで笑えてしまう。ラストなどピエロに徹している。無責任な読者としては、そろそろ、逃げられたときの状況を読ませていただきたい。他人の不幸を愉しんでいるようで申し訳ないが。