岩佐又兵衛 辻惟雄

岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎 (文春新書)

岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎 (文春新書)

荒木村重が見捨てた側室「だし」の子・岩佐又兵衛が、松平忠直のもとで絵筆をふるう、というあたりは、反骨と奔放という筆致につながるということなのだろう。多く添えられた図版が迫力ある。歌舞伎の「吃又」はなんとなく知っていたが、「この人物は、福井藩士の子で福井に育った近松が、当時の又兵衛伝説を潤色してつくりあげた架空のキャラクターだった」とは。