無理 奥田英朗

無理

無理

生活保護へのもたれかかり・詐欺商法・主婦売春に女子高校生監禁・市民運動家殺人。共同体秩序がグローバルスタンダードで崩壊し、名士も公務員もチンピラも、それぞれが「公共」を食い潰していく。戯画化された地方都市の姿は絶望的でまさにタイトル通り『無理』だ。なにが「無理」か。住民に公徳心を期待することも、そもそも地域社会として存続していくことすらも。希望はないのか。あるようではあるけれど、それは詐欺商法でのし上がるとか、東京の大学に進学するとか、新興宗教にすがるとか。どうやっていけば地域は「回る」ようになるのか。本当にもう「無理」なのだろうか。