水神上・下 箒木蓬生

水神(上)

水神(上)

水神(下)

水神(下)

筑後川のすぐそばにありながら台地にあるために水に恵まれない江南原。村々の貧しさと、受け入れて生きていく強さ、それが改善を拒む頑迷さにもつながっているのかもしれない心理状況が描写されている。川まで桶を下し水を汲む「打ち水」を生涯の仕事としている元助と、川に堰を造り水を導こうと立ち上がった庄屋・助左右衛門と盟友の庄屋たち。陰に陽に支援する老武士と反発する他の庄屋たち。元助の恋がとてもいい。下巻で、工事にどんな障害が起きるか、5庄屋の一人くらいは磔柱に上ることになるかと、予想したが、事故は1人。老武士の切腹でことが収まった。まあ、よかったのだろう。