リスクにあなたは騙される ダン・ガードナー

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理

物事を判断する「頭」と「腹」。「腹」は原始時代のままなのだ。典型的なものは正しい、実例を思いつくことができるものは一般的、いいものは危険なはずはない、そしていったん思いこんだらバイアスがかかる。タバコを吸いながら遺伝子組み換え作物を心配するナンセンス。同時多発テロで飛行機から車に乗り換えたことで、死者が急増したという事実。子供の誘拐はほどんどが知人か家族によるもので、見知らぬ他人によるものはほどんどないという事実。あやしげで一人歩きする根拠のない「統計」。「今ほど良い時代はない」という結論をかみしめつつ、「頭」の言うことにできるだけ耳を傾けるようにしなければならない。なんといっても、「いわれのない恐怖」をあおりたてて商売にする人たちの手にかかると、適正な資源配分ができなくなり、かえって救えるものが救えなくなってしまう。