警視庁捜査一課特殊班 毛利文彦

警視庁捜査一課特殊班

警視庁捜査一課特殊班

これまで犯人が低レベルだったから逮捕できた、という指摘は、警察としては十分に受け止めるべきだろう。被害者の人命第一、というのは、犯人を取り逃がしていいということではなく、両立させることが特殊班の使命なのだ。現金の受け渡し場所を転々と変える犯人の指示に振り回され、立てこもり犯確保のための配備の指示に「家族がいるから」と拒否する捜査員、一方で人質の身代わりを指定され、着替えのために離れた間に家族に遠回しに別れの電話を入れ、素知らぬ顔で戻る婦警。ヒステリックになる指揮本部、ハイジャックされた飛行機のコックピットの醜態。「毀誉褒貶あますところなく書いたつもり」という著者だが、特殊班のなまの姿を見ることができたと思う。8年前の本であり、警察がより進化してくれていることを願わざるを得ない。