権力の館を歩く 御厨貴

権力の館を歩く

権力の館を歩く

政治の舞台となった建物。その外観や内装から、館を使った権力者の意識や立ち居振る舞い、そして権力の行使構造を読み解いていく。とてもユニークで、おもしろい。この権力者たちを、今度は料理とか服装とかで絞って分析するのも面白いのでは、と感じてしまう。そして吉田茂の大磯別館が池田・佐藤・田中・福田らの住まいに及ぼした影響の考察、共産党本部を「学校」と看破した小気味よさ、幹事長室に至るまでが3層構造になっていてどこまで入れるか、関係性が現れるところに江戸城との類似を見る「小沢城」など、興味深い記述に尽きない。建築は、今ひとつ関心がなかったが、いろいろなものがつながっているものだ。