統一教会 櫻井義秀・中西尋子

統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福

統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福

知ったつもりになっていた統一教会だが、その鵺のような姿を多角的に論述した本書は、大変に迫力がある。▽「統一教会は、欧米では宗教団体として活動し、韓国では多国籍企業、日本ではアンダーグラウンドにおいて人材と資金調達を行っている」。アダム国家・韓国に対し、エバ国家・日本は奉仕するのが役割であり、統一教会のために際限なく金を出し続けるのだ。「花形スター」が韓国であり、「金のなる木」が日本。その資源を「問題児」であるアメリカにつぎ込んでいる。国際結婚も、韓日、すなわち韓国人男性と日本人女性の組み合わせが日帝三十六年の支配の歴史を踏まえ、イブがアダムに奉仕するのが当然、という意味で理想的なのだ(恩讐ある関係の結びつきこそが貴いと言い繕っているけど)。▽そして韓国では日本のように霊感商法や献身などがほとんど問題にならず、そのためカルトとしては位置付けられていても反社会的とまでは受け止められていない。▽だから農村男性の嫁不足対策として、統一教会が利用される。韓国での日本人女性信者の調査内容は、初めて知るもので、とても貴重なものだ。姑や夫に信仰がなくても、祖先崇拝儀礼のために尽くし、義父母・夫に尽くすことが教義でもあるわけだから、献金等を除けば(日本での壮婦のように身ぐるみもってかれることはない)、かえって良い嫁となるわけだ。▽日本の中高年男女を引き込むための仏教系新宗教「天地正教」。地域の拝み屋・川瀬カヨを中心とした宗教サークルがいかに統一教会に換骨奪胎されていったか、その過程は、それだけで一冊の本になるのではないか。