新徴組 佐藤賢一

新徴組

新徴組

佐藤賢一がやってくれた。沖田総司の義兄・林太郎という人物は寡聞にして初めて知ったが、剣の腕が立ち護るものを持って「後ろ足」になり、遠く離れた甥・総司、近くは息子・芳次郎、そして上司の吉之丞を見守る。滅んでいくもの敗れ去るものが、ただでは負けないという気組みが庄内藩に対する宥和的な扱いとなって結実する。朴訥にしていったん受け入れたら人懐こい。食材はうまいが自分たちで食べてしまいよそに出して金を儲けようとは思わない。食べられれば金を求めない。莫大な利を生む酒田湊は本間家に任せて大地主となし、いざ戦となると吸い上げる、その割り切り。著者の故郷(現住所でもあるか)・庄内賛歌である。