菜の花の沖一、二、三、四、五、六 司馬遼太郎

新装版 菜の花の沖 (1) (文春文庫)

新装版 菜の花の沖 (1) (文春文庫)

新装版 菜の花の沖 (2) (文春文庫)

新装版 菜の花の沖 (2) (文春文庫)

新装版 菜の花の沖 (3) (文春文庫)

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新装版 菜の花の沖 (4) (文春文庫)

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新装版 菜の花の沖 (5) (文春文庫)

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新装版 菜の花の沖 (6) (文春文庫)

新装版 菜の花の沖 (6) (文春文庫)

長大で途中、緩みを感じるところもあるが、平川新が「江戸時代の経済と社会の教科書」というような意味で表現しただけのことはある。政治の犠牲と言える和船に乗って旺盛な商業上の要求を満たす。具体的には、木綿や菜種のために蝦夷地のニシンが必要なのだ。一方、ロシアはテンやラッコの毛皮を求めてシベリアを領土化し、千島を南下してくる。松前藩の搾取でアイヌがロシアについてしまわないように、というのが幕府の蝦夷地経営の根本にあり、そこに巻き込まれていく主人公。そして日本社会の意地悪・いじめという習慣や、一方で、甘やかした炊がどこか鈍いものになってしまうという難しさにも触れる。大作。