虚栄の市一、二、三、四 サッカリー

虚栄の市〈一〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈一〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈二〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈二〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈三〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈三〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈四〉 (岩波文庫)

虚栄の市〈四〉 (岩波文庫)

ベッキーの小気味いいまでの悪役ぶりとアミーリアのどうしようもないボンクラとも言いたいほどの善人ぶりとが対照的で、そのひたすら悲運に流され不実な夫を想いつつ暮らしながら、誠実極まりないドビンの支援で、幸運をつかんでいく。ドビンがアミーリアのもとを去るとき、そのときの彼の彼女の気持ちの描写はなかなか。ベッキーがなぜ彼女の迷妄を覚ましてやろうと思ったのか、それは謎だが、こういう悪に徹しないところが彼女の魅力でもあるのだろう。ジョスは、ベッキーが直接手を下したかどうかはともかく、殺されたようなものだろうが。死の3か月前、ドビンに見せた怯えは、それでもなぜ逃げようとしなかったのか、それはそうした事例は現代日本のいくつもの事件で起きている。養子縁組して保険金殺人したり、酒を大量に飲ませたり。