火の島 石原慎太郎

火の島

火の島

三宅島の噴火で引き裂かれた幼馴染の恋。音楽を目指す少女と地元漁師の少年。少女は少年に2度命を救われていた。そして2人が再会した時、少女は土建会社の社長夫人に、少年は暴力団の幹部に。民事介入の手口や巧みに繰り出される暴力、それに対する企業側の姑息で拙劣な対抗策。全編に貫かれる「夢」から醒めた二人の愛と、それに納得しきれない双方の夫・妻たちの心理。傑作。石原慎太郎は政治家としての言動(実績は、大気汚染の改善など考えれば「功」もあろう)大嫌いだが、この小説は素晴らしい。