霧の橋 乙川優三郎

霧の橋 (講談社文庫)

霧の橋 (講談社文庫)

武士を捨て町人になった男。紅花を扱う店の入り婿として、大店の陰謀に立う向かううちに、自分が武士を捨て切れていないことに気付く。苦悩する妻との間に吹く隙間風。しかし、父の敵ともいえる父の想い人との立会を通じて、父の想い、彼女の想い、そして妻の想いに応えるようになっていく。紅花と白粉という商品をめぐる商売小説としてもディテールが丁寧で、さすがだ。