秘密とウソと報道 日垣隆

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)

上品ぶった新聞と本音メディアの雑誌、という位置付けであれば生き延びられるだろう、ということのようだ。「サンダカン八番娼館」で協力者から写真とパスポートを盗んだ山崎朋子、「自動車絶望工場」での潜入取材を批判された鎌田慧、「復讐するは我にあり」で警察調書をコピーして本にした佐木隆三、そして奈良少年調書漏洩事件と、ジャーナリストの取材姿勢を厳しく問う。そのなかで、足利事件での科警研の鑑定に早くから疑問を呈した自らを例に出して、それのできない新聞記者たちを嘆く。こうした著者だから、西山記者に対しても厳しい。そして、同じ毎日新聞の「情を通じた」取材の好例として、死刑判決を受けた人たちを救った松川事件裁判のスクープを絶賛する。なるほどねえ、である。